エッセイ「お元気ですか」
少年の笑顔を――
「これ食べる?」夕食時に自分が持っていたパンを母親に差し出し話したのが、母と子の最後になりました。
川崎市での13才の少年の事件は、過激武装集団ISを彷彿させる残忍さに不気味さを感じます。なによりも、救われない思いにかられます。
なぜ少年同士が殺し殺される結末を迎えなければならなかったのか…「殺されるかもしれない」と、おびえていた少年…にもかかわらず、なぜ言われるがままについて行かなければならなかったのか…不登校の原因が非行と絡んでいたことを、学校が把握していれば…誰かが気づいてあげれば…と、悔やんでも悔やみきれない思いが心にこびりついています。
子どもは社会を背負って生きています。
日本の子どもたちは、効率優先、利益優先で格差と貧困が拡大している社会を、小さな背中に背負って、生きています。
子どもがすこやかに成長できるよう、大人には政治を変える義務があるのではないでしょうか。
保育園の待機児童、子どもの医療費助成、少人数学級、高すぎる教育費、不十分な奨学金制度などと、教職員の「超多忙化」「非正規化」など、問題が山積みです。
13才の少年の笑顔を支える社会にするために――。
(03月04日記)