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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

足カバー

先日、東京にいる大学生の三男から電話がきました。

てっきり「お金を送ってほしい」と言うのかと思ったら、そうではなくて、「足カバーを2足、おばあちゃんに作って貰ってほしい」ということでした。

我が家の子どもたちは、毎年冬になると母の手作りのカバーを使って育ちました。

大正生まれの母は、私が子どもの頃も、昼間は仕事をしながら、手作りのセーターやスカートなどを作ってくれたものです。

江差のかもめ島への遠足のときには、夜なべをしてスカートを作ってくれました。

道南の木古内から、札幌に小学5年に引っ越してきて、石狩浜の海水浴がありました。

そのときのスナップ写真をみると、短パン姿のクラスメイトの中に、私ひとりがすその広がった真新しいワンピースを着ています。

田舎から都会に出てきたころの心細さと、建築現場で働く両親のせいいっぱいの愛情を、スナップ写真は伝えてくれます。

三男にたのまれたカバーのことを、母に聞いてみると、実家に1足だけはあるというので、近々もらいに行くことにして、もう1足は急がないから作って貰うように頼みました。

母と同居している姉の話しによると、間違いながらも、何度も編み直して作っているようです。

(11月20日記)

「清田区新聞」13年11月24日付より