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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

時速4キロの人生

敗戦直後、国策によって入植した一千数百戸の開拓民が、極寒の地で原始さながらの生活に耐えながら十数年。ようやく人間らしい生活ができるようになった頃、政府はこの村に、面積で日本一の矢臼別自衛隊演習場をつくることを決めました。

おおくの開拓農民はわずかの補償金で追われていったのが1963年。頑としてそこを動かなかった2戸のうちの1人が川瀬氾二さん。

1977年「赤旗」日刊紙に連載された小説「海霧のある原野」(窪田精)には川瀬さんをモデルにした山瀬直二が登場しています。

川瀬さんのモットーは「時速4キロの人生」――。

「川瀬氾二は中途半端なことばかりしてきました。しかし、わたしの人生は充実していました――。もしもいくつかの中途半端が、それに終わらず初志一貫していたら、今日ここに川瀬氾二はいなかったのです」(還暦祝いで)

D型ハウスの屋根に憲法前文・第9条・第12条などを4カ月かけてかいたのは1997年。「憲法がなかったら俺の存在はなかった。」

62回めの憲法記念日をまえにした4月20日、平和への思いをのこし永遠の旅に出ました。

訃報を受け、川瀬さんの「時速4キロの人生」が残したバトンの重みをかみしめました。

(5月12日記)

「清田区新聞」09年05月17日付より