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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

初雪の日に

ぶどう、りんご、なし、柿、みかん…と、秋はおいしい果物がいっぱいです。

新婦人の会の絵手紙サークルで柿を題材に、8人のみんなが描きました。

同じ柿を見て描いても、みんなそれぞれに違います。形も色も大きさも、絵と一緒にハガキにおさまっていることばもみんな違います。

私は絵手紙をはじめて10年になりますが、描きはじめて間もない方の絵のきらめきにはかなわないな、という気持ちです。

おそるおそる引いた線からは胸の鼓動が伝わってくるようです。失敗した絵の中には、挑戦する姿勢や人間らしさ、自分自身の失敗したときの「アッ」と思った時のことも思い出されます。

そして何よりも、穴があく程見つめる真剣な眼差しが見えるようです。

会話が楽しいにぎやかなサークルですが、描く事に集中し、静まりかえる時間の緊張感も快いものです。

Dさんが「私ね、チラシに書いてあった、下手でいい、下手がいいのことばにつられてここに来たの」といいました。

窓外には、初雪が風と共に舞っています。

「自分らしさ」が発揮される社会は他者の声にも耳を傾けなければなりません。

アジアへの日本の侵略戦争を「多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価している」「わが国が侵略国家だったというのはぬれぎぬである」などと記者会見でも発言した元自衛隊トップの田母神氏。

あのような考えの人を任命する政府である限り、自分らしく生きることはそうたやすくはありません。

(11月05日記)

「清田区新聞」08年11月09日付より