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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

「きよう話した人0(ゼロ)」

9日夕刊の1面に、2人の青年の写真が載っていました。

一人は200メートル競泳で世界新をたたき出し、北京オリンピックでの期待がかかる25歳。そしてもう一人は秋葉原での無差別殺人の容疑者、25歳。

後者青年のおびただしい量のメールには人間性を求める叫びがかいま見えてもきます。

職場で名前ではなく「派遣君」としか呼ばれたことがなかったという若者たちと重なってきます。何よりも経済効率一番、弱肉強食、人間だって使い捨ての社会の中で自己破滅的な狂気に走る人間を生み出したことに社会も政治も、私たち一人ひとりも責任をもつべきではないか、と思います。

メールの一部、「きょう話した人0」。違う日には「人と話すっていいな」。

被害者の人生、加害者の人生を考えるとこのあとの言葉が出てきません。

合掌

(6月11日記)

「清田区新聞」08年06月15日付より