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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

旅立ちの季節に

長かった冬も終わりを告げつつある3月中旬、中学校の卒業式がありました。

心温まる卒業式でしたが、ご多分にもれず開会してまもなく起立をうながされ「国歌斉唱」です。

国民主権のこの日本で天皇を讃えたこの歌がなぜ国歌なのか理解できませんが、卒業式や入学式という、誰もが一緒に祝う場に、国民のなかに賛否のある日の丸・君が代を持ち込むこと自体、本来してはならないことではないでしょうか。

まわりをながめると、わたしひとりが座っておりました。でも歌っている人はほんのわずかです。

わたしはひとりの親としての立場なので起立しなくてもなんのとがめもありませんが、教師や職員は許されません。「強制しない」と法制化しておきながら、東京都などでは多くの教師が処分されています。

教室に戻ってから、ギターやエレクトーンのバンド演奏とクラス合唱がありました。

昨年の学校祭以来ギターにはまっている息子も楽しげにその輪のなかにいます。クラス全員のアカペラ「大地讃頌」は見事でした。

子どもたちの澄んだ力強い歌声は、せまい教室と親たちの胸をいっぱいに満たしていました。

わが家の四つめの至宝、三男坊は、希望と不安いっぱいで新たな旅立ちを迎えました。

「清田区新聞」08年03月23日付より