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運転中にかけたラジオで思いがけない話題を耳にしました。
小説の中味をるる説明しながら「古典としては異例の売れゆき。10代から40代が読者層。その背景には、格差社会で苦しむ人たちがいます。みなさんもどうぞご一読を! 」という女性アナの爽やかな声でした。
「おい地獄さ、行(え)ぐんだで! 」ではじまり半奴隷状態の労働者が組合に立ち上がるまでをえがく小林多喜二の『蟹工船』が今、ちょっとしたブームになっています。
通常は年間2500部が今年は3月から5万7000部増刷しているというのです。
「読売新聞」(5/2夕刊)でトップ記事、テレビのワイドショーでも、といった状況です。
サンデープロジェクト(5/11)に出演した不破哲三さんが「今の社会が貧しければ、豊かな可能性が出る社会に変えられるのが国民主権だから、若い人たちが国民主権の主権者にどんどんなってほしい」と話しましたが、虐げられる中で今まさに若者が自分の居場所、夢や希望、生きがいを求めているという証の一つが『蟹工船』のブームではないでしょうか。
天皇が絶大な権力を持っていた時代に、「国民主権」「戦争反対」を高く掲げ誕生した日本共産党の価値が86年たった今、改めて見直されつつある空気を感じています。
(5月21日記)
「清田区新聞」08年05月25日付より