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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

灯籠流し

真夏日の暑さもやわらぎ、夕日が西の空を淡いオレンジ色に染めました。

厚別川の対岸では釣りを楽しむ人、家族連れや犬の散歩の人たちが目をとめながら、そばを通ります。

8月6日、「ヒロシマ原爆」の日に取り組んだ清田区九条の会の灯籠流し――。

素人が寄せ集まり、よくここまでたどり着いたと感慨深く灯籠たちを眺めました。灯籠の上部は段ボール箱をくりぬき、発泡スチロールは大小様々でスーパーから調達。

発泡スチロールの台に乗った手作りの灯籠が25基、出番を待っているさまは見事です。

灯籠には切り抜き模様や、花、うちわなどの絵や「ノーモアヒロシマ・ナガサキ・福島」「原発ゼロ」「祈り」「平和」「復興」などの字が書かれています。

新婦人の絵手紙サークルのメンバーも絵で参加してくれました。

絵本の読み聞かせ、合唱のあと、宵の入り口にさしかかった頃に灯籠を流しました。

暗く静かな川を一基、一基柔らかい灯りが流れとともに降りてきました。わずか50メートルほどの短い川の旅だけれど、みんなの願いを乗せて――。

おぼろがかった半月が広い南の空から、ずっと見守ってくれているようでした。

この日の広島の平和式典で「究極的な核廃絶」と発言した菅首相。

「究極的な核廃絶」とは、「核兵器廃絶」を永久に棚上げすること。

原爆で失われた命と苦しみ抜いてきた命があなたの目には映らないのですか?

(8月9日記)

「清田区新聞」11年08月14日、21日付合併号より