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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

思いがけないお年玉

おととしの12月25日は、次男のところに、双子の男の子が生まれました。

埼玉から、メールで送られる写真をみては、ハラハラドキドキしながらも、嬉しい年末でした。

昨年の25日は、母が平岸の病院に入院し、姉と二人で24時間の介護をすることになりました。

28日に実家で餅をつく予定は取りやめ。

年末の大掃除も取りやめ。

おせちは、いりどりとお雑煮、茶碗蒸しだけ。

入院時の母の記憶は、尋常小学校を卒業して、樺太の酒屋奉公時代以外は、まるで記憶の糸が切られたようでした。

12歳から17歳――母の人生で一番輝いた時期なのでしょうか。

退院の日の朝、姉と交代する私に向かって「もう帰るんですか? お世話になりました」と――母と同居している姉も私も、母にとっては時々「お手伝いさん」になったり、娘に戻ったりという状況でしたが、きのう退院して、家に戻ってからは、そういう「勘違い」はなくなったようです。

いろいろと考えさせられた今回の入院でしたが、悪いことばかりではありませんでした。

「世話になってばかりで…」という母に、「育ててもらったお返しだよ。育ててくれてありがとう」と私が言うと、「生まれてくれてありがとう」という言葉が返ってきました。

思いがけない母からのお年玉でした。

(01月08日記)

「清田区新聞」14年01月12日付より