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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

レーン・宮沢事件

小雪が舞う薄ら寒い朝を迎えました。

北大生の宮沢弘幸さんは、円山公園近くのアパートの一室で、枕元のラジオにスイッチを入れました。

午前7時の臨時ニュースで、大本営発表の真珠湾攻撃を聞いて驚き、飛び起きました。

大学の講師という関係以上に親しくしていたレーン夫妻の故国は敵国アメリカです。

取るものも取りあえず、北大構内のレーン宅を訪れ「日本とアメリカは戦争を開始しましたが、それは国と国のことです。先生一家の周辺に何かが起こったら、その解決のために尽力します」と告げ、工学部の教室に歩きかけたとき、尾行していた特高数人に逮捕され、数分後にはレーン夫妻も――。

札幌地裁で懲役15年の判決を受けた宮沢さんは、網走刑務所では独居房に。敗戦後、心身の衰弱が激しい状態で釈放。その2年後に、肺結核のため27歳で亡くなりました。

子どもの頃から好奇心旺盛、旅行が大好き。北大に入学してからは電気工学を専攻する傍らで、北大の欧米人教師から英語・ドイツ語など4カ国語を習得。大学在学中に樺太や満州を旅行した体験をもとに「大陸一貫鉄道論」を雑誌に連載するという有能で行動的な青年・宮沢さんでした。

宮沢さんの罪は、当時の「軍機保護法」違反の「探知」「漏泄」(ろうせつ)――旅行先の根室の海軍飛行場の存在をレーン夫妻に漏らした「スパイ」――だと。

同じ過ちを犯すことのないように深く心に刻んで―― 秘密保護法、必ず阻止を―。

(12月04日記)

「清田区新聞」13年12月08日付より