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吉岡ひろ子のエッセイ「お元気ですか」

癒し

雑草と仲良しの花畑は、子どもたちが巣立ってしまった我が家の残された癒しの場。

朝、夕と、日に何度かのベランダ越しの花畑をながめます。

ぶどうの木の辺りにはウサギ小屋があって、ある日、「キツネに食べられた! 」。エサをあげに行った長女が大声をあげて泣きながらもどってきたあの朝はもう20年以上も昔。

長女といえばよーく眠る子で、ありがたいほど食べてはよく眠る子どもでしたが、たまに大声で泣きました。おまつりで買ってもらったピンクのウサギの風船を手放し、一瞬にして空に飛んでいってしまったとき。札幌市のスイミングスクールの応募者が多くてくじを引いたら兄だけが当たったとき。大きな口をあけて「ワーン! 」と泣きました。

二日ほど前、若い男性サラリーマンがテレビに出ていました。「毎日毎日この一杯が楽しみで働いているんですよ。」居酒屋で日本酒片手にくやしそうにつぶやきました。汚染米のニュースのひとコマです。

「人体に影響がないから、あんまりじたばた騒いでいない」(太田農水相)なんて言った事を後悔させてやらねばならない。

食べ物の恨みは恐ろしいんだぞ。

(9月17日記)

「清田区新聞」08年09月21日付より